・APQPって何なのかさっぱり分からないよ~。
・先行製品品質計画ってなんだよ~?
・さっぱり分からないよ~
今回のブログはこういった事を思っている方に向けたブログです。
本記事の内容
この記事を読むと、APQPがざっくり何なのか理解できるようになります。
結論は、APQPとは、ざっくり言うと、いい製品を作るための量産準備の「かた」です。
この記事を書いている人:
千葉さん
グローバル営業マン
本業は自動車部品メーカーの営業7年目。
アメリカ、ヨーロッパ、中国を飛び回りビジネスをしています。
担当案件の売上は入社時に数千万円/年だったものが6年後の現在約10億円/年。
中・高・大学の学校での学習に加え、10年以上の英語学習経験。
会社では英語初心者の為の社内研修の講師も行っています。
初心者向けAPQPとは、ざっくり言うと何?
自動車業界でよく使われる言葉に「APQP」という言葉があります。
APQPとは、ざっくり言うと、いい製品を作るための量産準備の「かた」です。
空手の「かた」や、茶道の作法のイメージです。
この「かた」にそって、計画を立てれば、納期通りにいい製品が作れるようになりますよ。
というシロモノです。
Advanced Product Quality Planningの頭文字を取ってAPQPと略称で呼ばれています。
読み方は「エーピーキューピー」が一般的です。
直訳すると、「先行製品品質計画」となります。
ナニソレ、全然分からん。
分からんですよね。
自動車業界に長年従事してる私でも「先行製品品質計画」と言われると一瞬頭の中に「?」が浮かびます。
「APQP」と言われると「あぁ、あれね」と瞬時に分かります。
日本語の並べ方を「品質の高い製品を作るための計画を先行して作る活動」とすれば少しは分かりやすくなります。
いやまだ、分からん。
分からんですよね。
日本語で理解しようとするとワケ分からん状態におちいってしまいますので、APQPはAPQPと、覚えるようにしましょう。
今となっては死語ですが、昭和の時代にはコンピュータは電算機(電子計算機)と呼ばれていました。
これも日本語で「電算機」として理解するよりも「コンピュータ」として理解した方が正しく理解できる例です。
それと同じようにAPQPはAPQPとして理解するのがおすすめです。
なぜAPQPが必要なの?
冒頭に、APQPとは、「良い製品を作るための量産準備の「かた」」だと書きました。
では、なぜ「かた」にそって量産準備をしないといけないのでしょうか?
簡単にいうと安全安心立ち上げのためです。
「かた」を使わずに計画を立てると、いろんな検討漏れ、対応漏れが発生します。
あ!、品質全然よくない!
あ!、設計の検証忘れてた!
あ!、大事な工程が抜けてた!
あ!、梱包仕様考えるの忘れてた!
こんな漏れがおこらないように、「かた」を使って計画を立てます。
自動車は4,000種類、2~3万個の部品からできています。
関わる企業は数百社。
1社の部品メーカーにとって「あ!」ですむような事でも、小さな「あ!」が重なるとドミノ倒しのように大きな問題になります。
最悪、新車の発売予定日になっても車がまだ作れないなんて事にもなりかねません。
そんな、うっかりの「あ!」を未然に、先行して防いで、安心安全な量産立ち上げをしましょうという活動がAPQPです。
APQPをつくったのはアメリカビッグ3
APQPをつくったのは、GM、Ford、クライスラーからなる、当時のアメリカ自動車ビッグ3連合、後の全米自動車産業協会(Automotive Industry Action Group、以下AIAG)です。
もともとはFordが他の産業で使われていたプロジェクトマネジメントの手法を応用して自動車産業に持ちこみました。
それをビッグ3連合AIAGが採用しました。
おそらくビッグ3はサプライヤーの納期管理、品質管理に頭を悩ましていたのでしょう。
品質に不備がありました~
納期間に合いませ~ん
こっちも品質不具合ありました~
こっちも遅れま~す
もう!やってられるか!
これに従って計画立てろや!
くれてやるAPQPや~
こんな背景があったのではないかと推測しています。
APQPのスタートとゴールは?
APQP活動をのスタートは、顧客企業から量産サプライヤーとして選ばれた時です。
再来年から量産が始まるAという部品の量産、
キミのとこにお願いすることになったからよろしく。
承知しました。ではこれより量産に向けて準備を始めます。
ついてはAPQPの「かた」にそって進めます。
それは安心だ。
APQP活動の一旦のゴールは、量産の開始です。
長い準備期間をのすえに量産準備整いました!
APQPの「かた」にそって進めたので無事に品質、納期共に問題ありません。
うむご苦労であった。
来週からの納品、遅れないように頼むぞ。
承知!
このように、量産サプライヤーとして選ばれてから、量産を開始するまでがAPQP活動です。
量産が始まってからも、品質安定に向けて引き続き改善をすすめていきます。
「一旦の」ゴールと書いたのはこのためです。
APQPの5つのフェーズ
APQP活動では次の5つのフェーズを進みます。
1. 計画する
2. 製品を設計する
3. 工程を考える
4. 製品と工程の検証をする
5. 量産する
それぞれ詳しくみていきましょう。
チーム結成
はじめに、この5つのフェーズに進む前にAPQPのチームを結成します。
営業だけ、技術だけ、製造だけではなく、それぞれの部署から代表者が参加するAPQPチームを組織します。
全部門で協力しないといいものは作れないからです。
フェーズ1. 計画する
顧客の要求を整理して計画を立てるフェーズです。
・顧客はどんなものを作ってほしいのか
・顧客はいつまでに作ってほしいのか
・顧客は何個作ってほしいのか
などの顧客の要求を整理します。
これらの顧客の要求を理解して、
・自分たちはどんなものを作るのか
・自分たちはいつまでに作るのか
・自分たちは何個作るのか
を計画するステップです。
フェーズ2. 製品を設計する
先のフェーズ1で計画した製品を作るために製品の設計をします。
試作品を作って設計の検証をおこなうのもこのフェーズです。
フェーズ3. 工程を考える
先のフェーズ2で設計した製品をどのような工程で作るのかを考えます。
使用する技術、設備を検討します。
測定方法もこのフェーズで検討します。
どのようにすれば、不良品がすくなくなるかを検討するのもこのフェーズです。
フェーズ4. 製品と工程の検証をする
フェーズ2、フェーズ3で作成した図面、検討した工程を作り、実際に製品が量産できるのかを確認するのがフェーズ4です。
品質が十分か、
月産数量は十分か、
を確認します。
自社で問題なく量産できる確認が取れれば、顧客にも確認してもらいます。
この顧客に量産準備が整っている事を確認してもらう事をPPAPと呼びます。
フェーズ5. 量産する
フェーズ5はいよいよ量産開始です。原材料を購入し、製造ラインを使って製品を生産し、顧客へ納品します。
製品の品質が安定しているのかを監視し、
より安定した品質を目指して改善をしていくのがフェーズ5です。
量産サプライヤーとして選ばれてから量産が始まるまで1年以上かかる事もあります。
自動車は人間の命を預けるものなので慎重に量産の準備をするんですね。
まとめ
自動車業界でよく使われているAPQPとは、量産準備の「かた」である
APQP活動を行う事で安全安心立ち上げができる
APQP活動は、内示を受けてから、量産開始まで
APQP活動は、5つのフェーズから構成されている
ここまで分かっていれば、初心者としては十分でしょう。
それぞれの会社ごとのカラーがあると思うので、実際に業務をこなしながら理解を深めていきましょう。
他にも、自動車業界で働く人におすすめの本をまとめました。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。
Hope you good day wherever you are.
(livechiba.com)